虐待の防止のための指針

1.本指針作成の要旨

当事業所『合同会社ケアステーションPina』における障害者への虐待の発生を未然に防止するため、本指針を定める。

2.当事業所における虐待の防止に関する基本的考え方

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号)に基づき、いかなる時も障害者に対して虐待を行ってはならない。

3.本指針における虐待の定義

本指針における虐待の定義は以下の通りとする。

区分 内容と具体例
身体的虐待 暴力や体罰によって体に傷やあざ、痛みを与えること。組織によって適切に検討されずに行われた身体的拘束についてもこれに該当する。

【具体的な例】

殴る、蹴る、つねる、やけどを負わせる、椅子や壁に縛り付ける、医療的な必要性に基づかない投薬によって動きを抑制する など

性的虐待 性的な行為やそれを強要すること。

【具体的な例】

性交、性器への接触、性的行為を強要する、介助の必要性が無いのにも関わらず裸にする、本人の前でわいせつな言葉を発する、わいせつな映像を見せる など

心理的虐待 脅し、侮辱等の言葉や態度、無視、いやがらせ等によって精神的に苦痛を与えること。

【具体的な例】

障害者を侮辱する言葉を浴びせる、怒鳴る、ののしる、悪口を言う、人格を貶めるような扱いをする、無視する など

放棄・放任

(ネグレクト)

 

食事や排泄等の身辺の世話や介助をしない等により障害者の生活環境や身体・精神的状態を悪化させる又は不当に保持しないこと。

【具体的な例】

食事や水分を十分に与えない、汚れた服を着させ続ける、排泄の介助をしない、身体的虐待や心理的虐待を放置する など

経済的虐待 本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること。

【具体的な例】

本人の預貯金を本人の同意なく勝手に使用する など

4.虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項

ア 虐待の防止の対策を検討する委員会の設置

当事業所では、虐待の防止のための対策を検討する委員会(以下「虐待防止委員会」という。)を置き、その結果について従業者に周知徹底を図る。なお「身体拘束等適正化委員会」と同時に開催することもできるものとする。少なくとも年に1回以上開催する。

虐待防止委員会で検討した結果については記録し保管するとともに、従業者にその内容の周知徹底を図ることとする。

イ 虐待防止委員会の役割

虐待防止委員会では、実際に発生した虐待事例の分析検討をはじめ、虐待防止研修のプログラム作成、労働環境・条件を確認・改善するための計画の作成、虐待を未然に防ぐ職場環境の確認等を行う。

ウ 虐待防止担当者の設置

当事業所では、虐待の防止の為の担当者を置く。

虐待防止の為の担当者:越智 昭博

5.虐待防止のための職員研修に関する基本方針

当事業所では、虐待防止の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、虐待防止の徹底を図るために、従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的(年に1回以上)に実施するとともに、職員の新規採用時にも実施する。本研修に関する研修プログラムについては、虐待防止委員会が作成するものとする。

6.施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針

施設内で虐待(若しくは虐待と疑われる事案)を発見した従業員は、速やかに事業所の管理者及び虐待防止担当者に報告する。報告を受けた管理者及び虐待防止担当者は、市及び虐待を受けた障害者に係る支給決定市町村の虐待担当窓口にその旨を通報することとする。

また、管理者あるいは虐待防止担当者が虐待の加害者になっている場合など、上記の対応を取り難い理由がある場合は、虐待を発見した従業員が直接所管の市の虐待通報窓口に通報することとする。

なお、虐待を発見し管理者等に報告した従業者、虐待若しくは虐待と疑われる事案を市に通報した従業者に対し、不利益な取り扱いを行わないこととする。

7.虐待発生時の対応に関する基本方針

施設内で虐待が発生した場合、「6.施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針」の通り速やかに通報を行う。

また、当該虐待に関してその状況、背景等を記録し、当該記録に基づいて虐待防止委員会において原因の分析と再発防止策の検討を行う。あわせて、市が実施する調査に協力するとともに、市からの指示に従い、必要な改善を行うこととする。

虐待事例及びその分析結果については、従業者に周知徹底し、再発防止に努めるとともに、事案発生後に行った再発防止策や改善策についてはその効果を検証する。

8.利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針

本指針は利用者・家族や関係機関が閲覧できるよう事業所内に掲示する。

9.その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針

事業所の外部で開催される虐待防止研修に積極的に参加するとともに、受講後は従業者に当該研修の伝達を行う。

本指針に定める事項以外にも、障害者虐待防止について国・地方自治体から発出される通知等に留意し、虐待防止推進に取り組むこととする。

附則

本指針は、令和4年4月1日より施行する。

身体拘束適正化のための指針

1.身体拘束廃止に関する基本的な考え方

身体拘束は利用者の生活の自由を制限するものであり、利用者の尊厳ある生活を阻むものである。利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職員一人ひとりが身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、身体拘束をしない支援の実施に努める。

(1)身体拘束及びその他の行動を制限する行為の原則禁止

原則として、身体拘束及びその他の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を禁止とする。

(2)身体拘束等を行う基準

やむを得ず身体拘束等を行う場合には、以下の3要件を全て満たす必要があり、その場合であっても、身体拘束等を行う判断は組織的かつ慎重に行う。

①切迫性

利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

②非代替性

身体拘束等を行う以外に代替する方法がないこと。

③一時性

身体拘束等が一時的であること。

(3)日常的支援における留意事項

身体拘束等を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことを取組む。

① 利用者主体の行動・尊厳ある生活に努める。

② 言葉や応対等で利用者の精神的な自由を妨げないよう努める。

③ 利用者の思いをくみ取る、利用者の移行に沿った支援を提供し、多職種協働で個々に応じた丁寧な対応をする。

④ 利用者の安全を確保する観点から、利用者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行動は行わない。

⑤ 万一やむを得ず安全確保を優先する場合、身体拘束等適正化委員会において検討する。

⑥「やむを得ない」と拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返りながら利用者に主体的な生活をしていただけるよう努める。

(4)情報開示

本指針は公表し、利用者等からの閲覧の求めには速やかに応ずる。

 

2.身体拘束等廃止に向けた体制

(1)身体拘束等適正化委員会の設置

身体拘束の廃止に向けて身体拘束等適正化委員会を設置し、その結果について従業者に周知徹底を図る。なお「虐待防止委員会」と同時に開催することもできるものとする。

①設置目的

(ア)事業所内での身体拘束等廃止に向けての現状把握及び改善についての検討

(イ)身体拘束等を実現せざるを得ない場合の検討及び手続き

(ウ)身体拘束等を実施した場合の解除の検討

(エ)身体拘束等廃止に関する職員全体への指導

②委員会の構成員

事業責任者、管理者、現場責任者(サービス提供責任者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者)とする。

委員会は上記構成員をもって構成するほか、必要に応じてその他職種職員を参加させることができることとする。また、外部の有識者を加えることもできる。

(2)やむを得ず身体拘束等を行う場合の対応

本人又は他利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束等を行わなければならない場合は、以下の手順をふまえて行うこととする。

(ア)利用前

① 事前の情報で緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は身体拘束等適正化委員会にて協議する。

② 身体拘束等の内容、時間等について、個別支援計画等に記載し、利用者及び家族に対し現場責任者が説明を行い、「身体拘束・行動制限に関する説明書」(様式1)を以て同意を得る。

(イ)利用時

利用中の経過から緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は、身体拘束等適正化委員会において実施件数の確認と身体拘束等をやむを得ず実施している場合(解除も含む)については協議検討し、議事録に残す。

(ウ)身体拘束等の継続と解除

① 身体拘束等を行っている間は日々経過観察を行い、「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・検討記録」(様式2)を用いて、身体拘束発生時にその態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。

② 身体拘束等適正化委員会において協議し、継続か廃止かの検討を行う。

③ 身体拘束等継続の場合は、引き続き日々の経過観察を行い、「身体拘束経過記録」(様式3)に記録する。

④ 身体拘束等解除の場合は即日、現場責任者より家族に身体拘束等解除について説明し同意を得る。

(エ)緊急時

① 緊急やむを得ず身体拘束等を行うときは、職員同士で協議し緊急やむを得ない理由をケース記録に記録する。その後の事は身体拘束等適正化委員会において協議する。

②家族への説明は翌日までに現場責任者が行い、同意を得る。

 

3.身体拘束等に向けた各職種の役割

身体拘束等の廃止のために、各職種の専門性に基づくアプローチから、多職種協働を基本とし、それぞれの果たすべき役割に責任を持って対応する。

(事業者責任者)

身体拘束廃止・適正化の検討に係る全体責任者

(管理者)

① 身体拘束等適正化委員会の統括管理

② 支援現場における諸課題の統括管理

③ 身体拘束等廃止に向けた職員教育

(現場責任…サービス提供責任者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者)

① 家族、相談支援専門員との連絡調整

② 本人の意向に沿った支援の確立

③ 施設のハード・ソフト面の改善

④ 記録の整備

(従業者)

① 拘束がもたらす弊害を正確に認識する。

② 利用者の尊厳を理解する。

③ 利用者の疾病、障害等による行動特性の理解

④ 利用者個々の心身の状況を把握し基本的ケアに努める

⑤ 利用者とのコミュニケーションを充分にとる

⑥ 記録は正確かつ丁寧に記録する

 

4.身体拘束等廃止・適正化のための職員教育、研修

支援に関わる全ての職員に対して、身体拘束等廃止と人権を尊重したケアの励行を図り、職員研修を行う。

① 年間研修計画に基づく定期的な教育・研修(年1回以上開催)の実施。

② 新任者採用時は、新任者のための身体拘束等廃止・適正化研修を実施。

③ その他必要な教育・研修の実施。

④ 上記教育・研修の実施内容については記録を残す。

 

附 則

この指針は、令和5年4月1日より施行する。